残したい日本の原風景♯2

棚田を谷の方向に見下ろせば、視界の一番奥に山の岩肌むき出しの、特徴的な山が一緒に眺められる。この山は畑の棚田風景を美しく魅せる構成要素として、その存在はかなり大きいと思える。

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気になったので帰宅後に調べてみると、多くの登山愛好家に人気がある「リトル比良縦走」。その幾つかあるルートに必ず含まれているのが此の山、比良山系の東北に続く岩阿舎利山(686m)である。
岩肌あたりまで空間距離を測れば直線で約2.8kmある此の場所からは、肉眼でハッキリ見える花崗岩が特徴的で、荒々しくも力強い造形を作り存在感を誇示しているように見える。

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私が普段見慣れた京都の東側に位置する比叡山(848.1m)より162m低い山だけど、畑の棚田側から眺める姿は、そんな些細な標高差を全く感じさせないダイナミックな山に見え、単に高さだけに左右されないのが山の魅力であり、スケールの大きさなのを実感した。

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APS-C機+200mmで引き寄せてみると、いかにも花崗岩らしい明るい灰色の巨大岩がゴロゴロとしており、雨・風・雪によって風化した様子も分かる!周囲の樹木と比べると大きい岩は十数メートルサイズか?
此処の地点は切り立っているように見えるし、リトル比良縦走ルートのコースには含まれないだろうけど、もし近くで観れるなら怖いくらいの迫力があるのが想像でき、また近寄ってしまった事に恐怖し後悔するものかも知れない。
どのみち今の私は此処を遠くから眺めて、奇岩と呼べるに相応しい岩を見つけて楽しめば十分。

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せっかくなので畑地区にある畑八幡神社さんにお参りしました。
写真は神社の裏側になる参道。集落を登る車道に面しているので、此方から参道を歩いて神社鳥居のある表側に回った。

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畑八幡神社の参道と境内には巨大な杉が何本も目立ちます。
参道入り口の二本はそれぞれ5m、4.5mの幹周があり、4m越えの杉はその他にも数本!これを見ながら参道を歩くと直ぐに京都の貴船神社・奥社参道の大杉を思い出しました。
と同時に此の地域はかなり古い歴史がありそうだと直感します。

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拝殿前のひと際大きな杉は幹周5.26m・樹高は23mにもなる巨木です。少なくともこれだけ大きな杉になるには長い年月を要しますから、その分だけの歴史が畑八幡神社、如いては畑の棚田集落の歴史が古い事を想像させます。

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神社本殿前に鎮座する狛犬もちょっと珍しい造形をしていますね!

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拝殿前の大杉の樹皮。硬く分厚そうな樹皮から此の木が過ごしてきた年月を感じられ、そして境内の他の杉に比べ樹皮が朱い色をしていたのが不思議です。
この杉の巨木はねじれがなく樹形が整っているので、造林に使う杉を作るための「種子採り木」でもあったようで、まさに畑地区の御神木と言えそうです。

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車で表を通っただけでは想像付かなかったであろう、立派な鎮守の森が畑八幡神社にもありました。
今は青々とした楓も季節が来れば朱く染まり神社も趣を変えるでしょう。
是非その頃にも参拝したいと思います。

この撮影中に野生猿の集団が道路を渡って此方にやって来ました。
私に気付いてない様子なので、自分を気付かせるため小さく咳払いをすると、サルたちは素早く拝殿裏を走ってルートを神社横の茂みの中に移動します。どうやら神社を突き抜けて藪沿いを上に登りたい様子。
群れの大きな猿は子ザルを含む若い猿達を先に行かせて、その間は此方をジッと見ながら警戒・・・いや睨みつけて威嚇をしています。
「あなた方には興味は無いですよ」と眼を合わせないで神社拝殿に向かって歩くと、猿も藪の中に消えていきました。


以下は「畑の棚田」の案内板から
★畑の地理
畑地区は、高島町の最西部に位置し、西に比良山系の最高峰武奈ケ岳(1214m )をひかえた、山間棚田を形成する集落で、現在(2000年)の人口は142人・戸数39戸・地区面積2.4㎢です。
また集落を取囲むように広域基幹林道鵜川村井線が朽木村まで整備されています。

★畑の歴史
この地に始めて人が住み着いたのは、日本列島に稲作文化が伝えられた頃(約2干数百年前の縄文時代)だと言われています。畑のハ幡神社には「江州西岸高島郡奥畠村若宮殿奉鋳金工応永参年(1396年)八月」の銘をもつ鰐口が保存されています。このことから室町時代には、現在の集落が形成されていたものと考えられます。

★畑の農業
自然が織りなすこの地特有の農地を保全するため、昔ながらの手法により自然の地形に逆らうことなく畦畔を作りあげ、棚田の崩壊を防ぎながら、今日まで水田農業と共に延々と耕作管理されてきました。
現在畑地区の農家は32戸。1戸平均5反(20~30枚)の田んぼいわゆる棚田を耕作し良質でおいしい棚田米を生産しています。特産品は「畑漬物」の野菜を栽培し、また山菜および昔ながらの木炭も最近生産されています。

★畑の棚田概要
平成11年7月26日に認定された「畑の棚田」は、農林水産省が、洪水防止などの多面的機能をもつ棚田の重要性を理解してもらおうと「日本の棚田百選」として全国の代表的な棚田134地区を認定したものです。滋賀県で唯一認定された当地区は棚田面積15.4ha、棚田の枚数約700枚で、平均勾配は1/6(9.5度)と非常に急勾配の棚田です。


平成12年4月 滋賀県高島町・農林水産課  

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by hanashigai | 2018-05-24 12:00 |  ├ 滋賀・奈良・関西 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Mutar at 2018-05-26 07:20
こんにちは、初投稿です。
畑八幡神社の参道にある空に向かってまっすぐに伸びる杉は立派ですね。それに参道周辺の
雰囲気がなんかとてもいい感じです。静寂の中、時折、鳥の声などが聞こえてきそうです。
鳥居と一緒に写っている楓は、新緑だからなのでしょうか、緑が綺麗で目が癒されますね。
棚田とかもそうですが、日本の原風景の写真は見ていて心が癒されるので好きなんですよねぇ。
こういった場所は、後世までずっと残しておいて欲しいと思います。
Commented by hanashigai at 2018-05-26 14:50
>Mutarさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
此処の神社境内は杉が多い印象で、どれも太く背が高い木ばかりで、一番大きな杉は推定樹齢300年を越えるそうです。
もともと静かな山間の集落ですから、御想像のとおり静寂の中で鳥の囀りが聴こえてきます。
鳥居横の楓は新緑の若葉が光を透かして爽やかで、時折境内を駆けるそよ風に揺れる様も、心地よい空間演出のようで凄く癒されました。
日本の原風景がお好きとの事で、畑の棚田を御紹介できて良かったです♪こんな風景が年々減り、姿を変えてしまっている現代、それぞれの事情がある事でもやはり非常に残念です。仰るように後世まで残せるようにと願うばかりです。
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